ヴェールをまとった女性が書物を読んでいる。彼女の持っている書にはTORAと書かれていることが多く、これは律法の書という意味である。
多くのタロットカードでは、彼女の後ろに二本の柱が立っていることが多い。
時にそれらは黒と白で、BとJという文字が書かれている。どちらもヘブライ語で、Jはヤヒン (Jachin)で光、Bはボアズ(Boaz)で闇を表している。
女教皇はしばし三日月と共に描かれることが多い。足元に三日月がある場合もあれば、冠の一部に三日月があしらわれているものもある。
古くから月は女性の貞節、処女性のシンボルとされてきた。
特にキリスト教ではマリア様の無原罪を表す場合、彼女と共に三日月が描かれることがよくある。
これらはマリア様が無原罪でキリスト様を生んだように、彼女もまた、母アンナ様から原罪を負わずに生まれたということを表している。
女教皇は二本の柱の間に座り、訪問者を迎える。彼女は地の世界と天の世界。肉体的世界と精神的世界をつなぐ。
お互いが与える影響について考え、観察し、時には自らが進言することもある。女教皇は両方の神の道となり、光として表される。
奇術師で肉体的、現実的な世界にふれたあと、人はその対にあるものを必ず学ぶことになる。女教皇は心理学的に精神面を表す。
心、感情、共感、志、希望、絶望。自分の内面にあるものをみつめ、考え、時に人は誰にも明かさないまま秘密と共に永眠することもある。
精神面がもつ力は創造的な面よりも受動的で、繊細だ。体外からより多くの影響をうける。
しかし、何らかのことがきっかけでそれらの力はしばし外の世界に具現化される。
それは周りに幸せを運ぶこともあれば、脅威となって姿を表すこともある。
天をまもる神、地をまもる神とわけるならば女教皇はその境目にいる存在だ。月となって天から地球をまもり、月の引力によって海に満ち引きを起こす。
女教皇はその内に力をひめて、必要なときに発揮する。現実の世界と神秘的な世界の間にいる彼女は、何が起きてもいいように知識を蓄えることを怠らない。
相談者が彼女に助言を乞うても、知識や知恵が足りなければ彼女の言葉を理解できない。
直感力、霊感によって見たものだけが真実を見出せることができ、この時初めて相談者は女教皇の言葉の真意を理解できるようになる。
彼女の潜在的な力は、彼女に知恵を与えてくれた人たちによる賜物である。
伝聞あるいは書物によって与えられた知識を彼女は何度も反芻し、内に刻み込む。
彼女は公にしていい教えと密教を直感、霊感を使って綿密にわけている。それらが悪用される可能性について彼女は熟知しているからである。
女教皇の負の側面としては、彼女は内向的で自分の秘密を口にしない。自分の世界に閉じこもり、意識的にも無意識的にも外の世界を排除してしまう。
自身の感情の変化に敏感で、内にため込んだものを自分の為に利用する。それは脅威となり、外的世界に大きな影響を与える。
【タロット】大アルカナⅡ女教皇の正位置の意味
直感力、霊感、宗教性、勤勉、沈黙、粘り強さ。問題を解決するための糸口、希望。
創造的なものを与える女性。
【タロット】大アルカナⅡ女教皇の逆位置の意味
不安定な感情。浅はかな知識。冷酷。自惚れ。視野の狭さ。探求心がない。将来に見通しが立たない。