皇帝は片手に錫杖をもち、もう片方の手には球体を持っている。錫杖は男性的能力の象徴だ。彼は自らの意志、行動によって帝国を築きあげた。
彼が持つ球体は黄金で描かれる場合もあれば、地球として描かれる場合も在る。球体はこの世界の民が安全に生きていく上で必要な社会的ルールの象徴だ。
彼が座っている玉座には鷲が彫られた盾が描かれることが多い。鷲は昔から空の王者として、宗教や絵画に取り入れられていた。
しかし、鷲が空の王者でいるためには、勇気と行動をもって様々な困難を乗り越えなくてはならない。
女帝の配偶者である皇帝には4という数字が割りあてられている。4は万物の基本元素、火、水、地、風を表す。
皇帝がもつ創造性は彼の意志や勇気、知性、理性から成り立つ。彼はこの世で人々が組織的に暮らしていくには一定の規則が必要だと理解している。それらは世界的な基準になるもの(殺人の禁止など)もあれば、その国独自のものになることもある。
しかし、ひとたび間違った規則を作れば、それは差別を生み出し、社会的弱者を作りだし社会を分断する。
それらを防ぐためには皇帝は自身の感覚、経験、知性によって均衡のとれた判断をくださなくてはならない。
世俗的な意味では、皇帝は権力と力によってこの世を支配してきた王の象徴だ。彼は自分の信頼できるものを周りにつけ、邪魔なものは容赦なく排除した。
皇帝は共通の敵を作り民を奮い立たせるが、彼がもつ力は強く、民の目を暗くし時に真実を捻じ曲げ見えなくすることもあった。
女帝が母性を表すように皇帝もまた、父性、厳父を表す。女帝が子供に飴を与えれば彼は鞭を与える。
彼はこの世が美しいばかりではないこと、生きていくためには数多くの障害を乗り越えなくてはいけないことを子供に教える。時にその役割が彼を孤独に陥れることもある。
女帝が男性の女性象のもとになるように皇帝もまた、女性の男性像になる。
皇帝は意志、力強さ、積極性などの能動的な面。自身の内から出てくる恐怖とそれを打破する必要性や勇気を女性に教える。
しかし、その力が強すぎると女性は異性に対して受動的な態度を強くし、隷属な立場に身を置く。自身の内面を押し殺して相手が望むような言葉と行動をとる。
皇帝の負の側面は、彼がもつ知性や理性が彼自身コントロールできなくなって起きる。
支配欲を抑えきれない皇帝は手のつけられない暴君であり、欲望のままに行動を起こす。
彼は破綻した論理で民を奮起し、歪んだ正義感によって自己の行いを正当化する。
【タロット】大アルカナⅣ皇帝の正位置の意味
行動力。強い意志力。プライド。偉大な人物。堅固さ。力。征服。権威。野心。リーダーシップの発揮。好戦的。理性。
【タロット】大アルカナⅣ皇帝の逆位置の意味
未熟。隷属的な人。意志の弱さが引き起こす野心の挫折。自身の立場の喪失。頼りなさ。